1チーム4~5人で構成された8チームでフォントのZINEを制作した約3ヶ月を終え、モリパス部のメンバーによる作品発表イベントが開催されました。部内の外へはじめてZINEをプレゼンした様子をレポートします。

 

3つの力を学んだ部活の最終日

9月29日、イベント会場にはモリパス部メンバーのプレゼンを待ち、来場した学生たちが静かに座っていました。2019年の活動を支えてくれた、最新鋭の技術を持つ印刷会社「帆風」や紙の専門商社「竹尾」の方々も混ざり、メンバーの晴れ舞台を温かく見守っています。

観覧席の後ろにはメンバーたちが控え、作品発表がはじまる前の少し緊張した時間を過ごしています。すると、マイクにスイッチが入り、イベントは学生発表、ゲストトーク、懇親会の3部構成で行なわれるとアナウンスされました。いよいよスタートです。モリパス部の橋爪顧問が開催の挨拶を告げました。

「モリパス部は、学生メンバーで構成されています。クリエイティブに興味のある学生に向けて、フォントの感性を“ON”にすることを目的にしたアウトプットを目指しました。とはいえ、参加してくれた学生には、何かを得ていただきたい。そこで3つの力がつくように活動を進めてきました。それは、チームワーク力、実践的なデザイン力、伝える力の3つです」

この日まで、自分たちが何を考えてどう伝えたいのかを、チームで形づくり、発表することを繰り返してきたメンバーにとって、作品発表イベントはこの3つの力を披露する機会でもありました。

 

フォントの魅力を多彩に伝えた作品発表

計8チームの作品発表は、フォントという同じ対象を扱っていても、魅力を伝えるメンバーが変われば、表現されるフォントの魅力は多彩になることを伝えてくれるものでした。各チーム限定100部制作されたZINEに目を向けてもらいつつ、自分たちのプレゼンを聞いてくれる観覧席の来場者に向けて、この3ヶ月の成果と想いを伝えていきます。

あるチームは、フォントのつくりかたや制作者にフォーカスしてZINEを編集。「魂は細部に宿る」という言葉を信じて、フォントのエレメントに注目したZINEに仕上げました。フォントについて詳しくない人にも接してもらいやすく、巻頭企画を漫画にしたことやページをめくるごとに制作者の想いへとつながっていく構成にしたことをプレゼンすると、観覧席の来場者も納得した表情でZINEに目を通してくれました。

また、あるチームは、フォントを扱うことに長けたクリエイターにフォーカスしてZINEを編集。情報を見せるためのフォントには、読者の感性を魅了する味わいがあることを切り口に、ひとりのデザイナーを深掘りするインタビューを届けました。使い手の数だけ異なる魅力を放つフォントだからこそ、このZINEではインタビュイーの個性を大事にすることを重視。大切にした部分を伝えるメンバーの言葉を受けて、手元のZINEを見返す人たちの姿が印象的でした。

その他、フォントによって表現できることを掘り下げたZINEやフォントが生まれてきた歴史をたどるZINEなどを発表。緊張感が漂うなかでスタートしたプレゼンですが、要所、要所で観覧席に笑い声が上がり、徐々に緊張が解けて、メンバーの人となりも伝わっていきました。各チーム、プレゼンを終えて席に戻る際の表情は、頬がゆるみ、満足感を覗かせています。

 

フォントの感性で新しいつながりへ

作品発表イベントの後半は、部会 第3回でメンバーにアドバイスを贈ってくれたアートディレクターのカイシトモヤさんを迎えるゲストトークです。大学で教鞭を振るうカイシさんは、各チームのZINEの魅力をカイシさん目線で伝えるレビューやフォントにまつわるデザインレクチャーを講義風に話してくれました。観覧席のみなさまに混ざり、モリパス部のメンバーもカイシさんの教えをメモします。最終日でも、メンバーがフォントのクリエイティブを学ぶ感性は“ON”でした。

2016年からはじまったモリパス部も今回で4期の修了です。4期では、観覧にお越しくださった方々とメンバーが交流する時間も設けました。モリパス部員は、初めて知り合った人たちとも今日という日を振り返り、フォントを通じて新しい縁を得る機会につなげていました。また、知人や友人を招待し、モリパス部で学んだことを共有したメンバーの中には、私も参加してみたいという声をもらう一幕もありました。

それは、約3ヶ月の活動を通して、フォントへの興味・関心を感性の高まりに移していくことができたメンバーが、はじめて会った人ともフォントの感性で通じ合えるクリエイターの仲間入りを果たしたことを示す光景です。翌日からはモリパス部の元メンバーに変わります。それは、この部活での経験をクリエイター人生の糧のひとつにして、これからもフォントの魅力を引き出せるメンバーたちのクリエイティブは続いていくことを意味します。

このメンバーなら大丈夫。そう、顧問たちも思える姿になって、メンバーは巣立っていきました。