セミも鳴き始めた7月1日、関西モリパス部では書体デザイナーの神田友美さんを招き、”口癖×文字” をテーマにワークショップが行われました。

今回の会場はモリパス部大阪本社を飛び出して、関西マネージャーの山田さんが代表を務める只本屋をお借りして開催されました!1日を通して京都を感じながらフォントの作り方から考え方まで貴重な体験をしたメンバーたちをレポートしていきます!

 

まずはみんなの口癖がもつイメージや雰囲気を共有!

関西モリパス部で制作する「FONT SWITCH MAGAZINE Vol.3」のテーマが「文字を纏って。」ということで、今回のワークショップは、文字を纏うとはどういうことなのか?について神田さんと共に考えたワークショップです。

自分の口癖を探し、その言葉が持つ雰囲気に合わせたフォントを作ってみようという内容で、神田さんから今まで作ってこられたお仕事を紹介していただきながら、文字の作り方や、アイデアの出し方などここでしか聞けないことを惜しみなく教えていただきました!

字形のもとになる骨組みの「骨格」、それにさまざまなニュアンスを肉付けしていく「エレメント」と呼ばれる2つの要素で文字は構成されています。

午前の部では、この2つの要素から口癖のニュアンスを汲み取った「骨格」について考えました!

まずはメンバーそれぞれが自分の口癖をみんなと共有しました。ニュアンスが伝わりやすいように声に出して、どんな状況で使うのか、どんなイメージで使っているのかを発表しました。

武居くんの「じゃけ」は、山口県の方言で「だから~」という意味でよく使われます。彼は一息つく時に出てくる言葉だそうです。会話の冒頭で「じゃけぇ」と伸ばして使うけど、文字には起こさないのがルールなんだとか。文字と言葉のギャップが一番ある口癖でした。

伊藤さんの「いとーだよ」は誰かに名前を呼ばれた時に返す言葉で、彼女は挨拶がわりに使っているそうです。伊藤さんのキャラクターにマッチした可愛らしい口癖で、どこかとぼけた雰囲気をどうフォントで表現できるのか楽しみです。

ちなみに神田さんの口癖は「ほんまに」だそうです。ニュアンスとしては「ほんまに!!」ではなく「ほんまにぃ」だそうで、優しく相槌を打つように使うとのこと。

 

口癖が持つ絶妙なニュアンスに悪戦苦闘!

全員の口癖を発表した後は、どうやってそれを具体的に視覚化していくかをレクチャーしていただきました。

神田さんがみんなの前で「あ」を例に説明する場面では、「重心が高いと上品で女性的な感じがするよね。重心が低いバージョンは、ちょっとファニーな感じだよね」と重心の違いで表れる印象の違いや、文字の懐の違いで見せるパターンなど、実際に手を動かしながら教えていただきました。

それを参考にしながらたくさんのパターンを書き出していき、しっくりくる形を探し出していきます。微妙な違いで変わる印象に、自分が目指す文字がわからなくなりそうな時は、周りのメンバーに聞きながら進めていく姿がちらほら。

声に出しながら考えるとニュアンスを掴みやすいのか、会場の中にみんなの口癖が飛び交っていました。

 

文字の七変化! エレメントで決まる文字の印象

午後からは考えた骨格にエレメントをつけていくことに!

時折周りのメンバーと確認をし合いながら「少しオシャレすぎるかな?」「もっとダレさせた方がいいかも」とアドバイスをし合う場面もありました。

せっかくの機会だからと「迷ったら振り幅の大きい方にチャレンジして作ってみたら面白いものができるよ」と神田さんのアドバイスもあり、オリジナリティ溢れる文字たちが揃い出しました。

完成までもうすぐ! 果たしてどんな口癖フォントができあがるのでしょうか。

文字を確認しながらフォントとして機能するように「小さくなった時を想定して、線幅にも注意してみて」や「文字は読めなくなっては意味がないので崩しすぎに気をつけて」

など、デザイナー目線でのアドバイスをいただきました。みんなも質問をどんどんしてブラッシュアップしていきます!最後は清書をして完成です!

発表のその前に、実際に作ったフォントをパソコンで使用できるようにデータ化する方法をレクチャーしていただきました。

プロの書体デザイナーの方がどうやって仕事をしているのかを知る貴重な機会で、学生でも使えるテクニックやアプリの紹介など、今すぐ使えるものばかりの身になるお話でした。

ワークショップで作ったフォントも終わった後にデータ化するため、しっかりとメモをとるメンバーたちでした。

 

フォントは体を表す? みんなの個性が溢れるフォントが完成!

ワークショップも終わりに近づき、最後は完成したみんなの口癖フォントの発表です!

一人ひとりできたフォントを説明してもらいます。みんなの口癖がビジュアルとして見えることでよりニュアンスが伝わりやすくなりました。耳で聞こえる印象と目で見える文字の印象がマッチしていて、発表の間「わかるわかる」とあちこちで声が聞こえてきました。

考え初めから随分印象が変わったという伊井さん。「どうしよ」という口癖について考えました。頭で考えた口癖の持つ印象に引っ張られていたようですが、終盤で手癖で書いた文字がピッタリ合ったようで、彼女にしか作れないオリジナルのフォントができました。

神田さんと同じ「ほんまに」が口癖だった堀口さんは、鉛筆では出せない強弱のつく独特なラインをカリグラフィーペンを使って書き出しました。会話の最後に判を押すように使うので、しっかりと強調してする意味を込めてデザインしました。

発表してもらったフォントたちは口癖と相まってどれも作った本人を想像させるものばかりで「名は体を表す」さながら「フォントは体を表す」のようでした。

終わりに神田さんから「みなさん集中している姿を見て嬉しかったです。文字を作るという経験を通してこれから何かを作るときの考え方のひとつにしてもらえたらと思います」と締めの言葉をいただきワークショップは無事終了しました。

途中でいきいきとしたみんなの文字を見ながら東京から駆けつけた橋爪さんから「声が聞こえてきそうですね」とこぼす場面がありました。神田さんからも「イメージがしっかりしてるから伝わりやすいね」と。

私たちが普段何気なく使っている言葉には色々なニュアンスが含まれていて、それを文字にしたときに、そのニュアンスを消してしまわないようフォントの力を借りることができます。

そのフォントの力について、自分の口癖から考えることができた今回のワークショップは、メンバーたちの、フォントが持つ雰囲気を感じる感性をONにしたようです。

ワークショップをもとにMOTCチームが自分たちが考え、実際に体験したことをまとめて誌面を飾ります!実際に手を動かした人にしか分からないこともたくさんあったのではないでしょうか。そんな感想や、でき上がったみんなのフォントについてより詳しく知ることができる「FONT SWITCH MAGAZINE Vol.3」はこの夏刊行です!